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2019年4月19日(金)

今日のお仕事


福島第一原子力発電所の状況について(日報)

プラント関連パラメータ(PDF) 午前11時時点

1号機格納容器内部調査の準備作業(2月28日参照)として、格納容器圧力を下げるため4日に格納容器ガス管理システム排気流量を20m3/hから25m3/hに変更(4日参照)。その後、状況を確認中。今日11:00の格納容器ガス管理システム排気流量は26.3m3、格納容器圧力は0.07kPa(gage)。

サブドレン他水処理施設、10:02-13:34に一時貯水タンクEから排水を実施。排水量は526m3


その他


サブドレン他水処理施設、一時貯水タンクF(15日採取)と集水タンクNo.6(9日採取)の分析結果
サブドレン・地下水ドレン浄化水分析結果(PDF)
一時貯水タンクの分析結果は東電、第三者機関のいずれも運用目標を超えず。トリチウム濃度は東電が790Bq/L、第三者機関が850Bq/L。明日20日に排水の予定。





この日にこんなツイートがありまして。



構内での防護装備については「福島第一原子力発電所作業環境の改善状況について(230KB)(PDF、2018年10月25日)」という資料が一番最近の変更についてのものだったと思う。下はこの資料の1ページ目。

これを見るとわかるのだけれど、青斜線のエリアでは2017年3月30日から移動の際にはマスクが不要となっている(防護装備としては手袋のみ)。2018年10月1日からは、この青斜線のエリアで手袋が不要となった(つまり、防護装備は何もなくて良い)。また、入退域管理棟と免震重要棟周辺(いずれも青斜線エリア内)を結ぶ歩道についても同日から防護装備が一切不要となった(資料の2頁参照。ちなみに、この道をバス等で移動する場合はそれまでもマスクは不要だった)。1-4号機西側の高台(視察ルートによく組み込まれている場所)については、2018年11月1日より防護装備なしでの視察が可能となった。
というわけで、「昨秋にその一部での視察、移動のときのみマスク不要になりました。」という彼女のツイートは正しくない。構内を移動する全ての人について、マスクが不要なエリアは2017年3月30日よりにはすでに存在している。(移動の際にマスク不要っていうの、2017年3月30日以前からあったような気もするな。どうだったかな)
「構内の大半が防塵マスクと専用服、被曝量測定が必要な放射線管理対象区域。」というのも正しくない。上の資料で「Greenゾーン」とされているエリアで作業する場合は、防護装備として必要なのは使い捨て防塵マスク(全面マスクではない、いわゆるDS2マスク)、ゴーグル、手袋、作業用靴のみ。着衣については普通の作業着でOKであり、タイベックスーツのようなカバーオールや専用服は必要ない。現在、構内の大半はGreenゾーンであり、軽微な防護装備で作業が可能となっている。もちろん、その多くは放射線管理区域ではあるが、作業者の被曝線量は平均して1年で数mSv程度であり、線量限度(5年で100mSv、1年で50mSv)を大きく下回っている。

「防塵マスク」とか「専用服」とか、こういう言葉を1Fの話として使うとき、それが読む人にどういうものを想起させるのか、この人はわかってやってるんだろうと思うんですよ。つまり「構内の大半が防塵マスクと専用服、被曝量測定が必要な放射線管理対象区域」って言ったら、全面マスクとカバーオールのフル装備が必要な場所、というイメージになるでしょう。でも、実際はそうじゃない。これって、2018年4月4日に書いたフェイクニュースの手口と同じで、「明らかな嘘は書かず、尻尾をつかまれないようにして印象操作をする」というやつだ。だけど、ちょっと力が足りなくて、うっかり間違いを書いちゃったんだろうかね。

これでも一応、全国紙の記者なんですよ、青木さんって。これで金とって飯食ってるの。驚いちゃうよね。



(以下、21日追記)1-4号機西側高台では、「視察のみがマスク不要」というのは正しい。なぜそうなのかというと、この高台に行く人には、作業をする人と視察をする人のどちらかしかいないから。
さっきも書いたように、1F構内の多くは放射線管理区域に指定されている。ということは、用もない人が勝手にうろついていてはいけない場所だということである。そこにいる人は、必ず用があってそこにいるわけだ。したがって、1-4号機西側高台に行くための防護装備の区分としては、作業する人と視察する人の二種類しかない。この場所はGreenゾーンなので、作業する人は防塵マスク等の装備を着用するし、視察の人は防護装備なしでOK、それ以外の用の無い人はそこにはいない、という話。
GreenゾーンでDS2マスクのような防塵マスクを必要とするのは、作業によって粉塵が舞う可能性があるから。でも、その作業をしている近くをマスクなしの人が通行することもある(Greenゾーンの中にマスクなしで移動できる青斜線のエリアがある)わけで、粉塵が舞うといってもその程度。敷地境界を超えて1Fの外へ出て行くようなものではない。
マスクなしでOKかどうかについて、東電はダストモニターを設置して空気中のダスト濃度を常時監視している。構内のダスト監視体制については、「1号機使用済燃料プールからの燃料取り出し」のページの下の方にまとまっている。下図は、このページに掲載されているダストモニターの配置図。
図中の緑丸が、マスクなしでOKなエリアのダスト濃度を常時監視するためのモニター(15カ所)。もし、ダスト濃度が上昇するようなことがあれば、速やかに対応するための処置が取られることになっている。
このように、放射線管理区域に入域する人の被曝を管理するために、構内の状況をモニタリングし、それぞれの環境に適した防護装備を決め、入域する人には線量計を携帯させて外部被曝線量を測定し、定期的にホールボディーカウンターを受検してもらって内部被曝線量を測定する、とういことが行われているのだ。そして、このことが一番大事なのだけれど、2011年10月以降、入域した人たちの中で有意な放射性物質の内部取り込みが確認された人はいない。つまり、2017年3月30日以降、マスクなしで構内を移動する人たちがいるにも関わらず、問題になるレベルで内部被曝をした人はいないのだ(作業している人の被曝線量のデータについては以下の資料が最新のもの「福島第一原子力発電所作業者の被ばく線量の評価状況(PDF)(2019年1月30日)」)。

1Fにはまだまだ放射線量の高い場所もあるし、全面マスクが必要な環境での作業もある。けれども、今や構内のほとんどは軽装備で作業可能なGreenゾーンであり、場所ごとに決められた防護装備を正しく使っていれば、被曝線量はきちんと管理できている。いたずらに悲観したり恐れたりする必要はない。そういう現実を広く伝えるのが報道の役割だと思うんだけどな。


(以下、23日追記)このエントリーに対して、こんな感想をいただきました。
不信が強いとおっしゃるけど、不信なんてないですよ。信頼がゼロなだけで。私も昔は新聞やテレビの言うことを疑うことなんてなかったけど、1F事故後のマスメディアの報道や記者会見での記者の言動が、私のナイーブな信頼を跡形もなく打ち砕いてくれたんですよ。
あのツイートが印象操作だというのは、確かに私の思い込みであり、証拠があって言ってるわけではありません。でも、1Fが安心できる場所かどうか、みたいな印象は、報道を見る人が感じることであって、報道が伝えるべきなのはそういうことじゃない。必要な装備は全面マスクなのか、それともDS2マスクなのか、マスクなしで健康に影響があるかどうか、そういう事実関係を伝えるのが報道の役割だと思う。「防塵マスク」というような曖昧な表現を使わざるを得ない場合には、それがどのような伝わり方をし得るのかについて敏感さが必要だ。そうでなければ、正しい情報を伝えることができない。それなのに、あえてそういう曖昧な表現を使うなら、それは報道を担う者としての能力を欠いているのか、それとも、読み手に想像する余地をあえて残すことで印象操作を狙っているのか、どちらかしかないでしょう。だから、あえて「印象操作」だと書いたのです。記者なら、そのくらいの敏感さは持っているはずですからね。

米山さんは、あのツイートに間違いはないと思っているようなので、事実関係に関する認識がゆるい人なのかもしれない。でも、青木さんはそうでもないみたいですね。
最初のツイートと同じような表現が、間違いのないものに変わりました。これでは、ケチのつけようがない。でも、最初のツイートはそのままあるし、訂正が入ったわけでもない。東電がこんなことしたら(設備の不具合をこっそり直して公表しないとかね)、大騒ぎするんでしょうにね。自分がやるのは一向に差支えないらしい。
それから、もうひとつだけ。放射線管理区域で働くことは、別に悲しいことでもつらいことでもない。日本人でも外国人でも、そこで働くことは、他の仕事と全く同じ。それぞれの仕事の場にそれぞれの特徴があり、危険もあればやりがいもある。それだけのことなんですけどね。なぜ1Fの廃炉の現場だけがこんなふうに言われるのか、私にはさっぱりわからない。


(以下、24日追記)上で参照した米山さんのツイートには続きがあった。




年間被曝線量が20mSv以下なら、その人は線量限度(5年で100mSv、かつ、1年で50mSv)を超えることがないので、1Fでずっと働き続けることができる。「福島第一原子力発電所作業者の被ばく線量の評価状況(PDF)(2019年1月30日)」に作業者の被曝線量の統計がのっているが、これで最近の実績を見ると、年間被曝線量が20mSvを超える作業者は、平成28年度で216人(全体の1%)、平成29年度で74人(同0.5%)、平成30年度は12末までで0人、と年々減ってきているし、その割合も多くはない。もちろん、これらの人も、他の年度で被曝線量を抑えれば、線量限度を超えないようにすることは可能だ。仮にこれらの人がまったく重複していないとすると、平成28年度以降に年間20mSvを超えた人は全体の1.5%、つまり、線量限度を超える可能性のある人の割合は非常に小さい、ということになる。

年間20mSv超えの人達は、YellowゾーンやRedゾーンのように線量の高い場所での作業をしているのではないかと思われるが、このような場所での作業は簡単なものではない。全面マスクを付け、手袋を何枚も重ね、防塵用のカバーオールや防水のためのアノラックを着用しての作業は、視野が狭い・手指の感覚が鈍く細かい作業が困難・同僚との意思疎通が難しい、あるいは、暑い季節だと熱中症になりやすく体調管理が重要などの難しさがあり、新人が入ってきていきなりできる作業ではない。したがって、YellowゾーンやRedゾーンでの作業ができる人は現場では貴重であり、こういう人材こそ長く仕事を続けてくれることが廃炉作業では必要となっている。なので、作業での被曝線量をなるべく抑えるような工夫(遮へいをする・作業時間を短くできるように事前の訓練をする・たくさんの人が短時間で次々と交代して作業を完遂する・被曝線量が高くなるような作業はローテーションを組んで同じ人が当たらないようにする、など)をして、線量限度を超えて1Fで働けなくなってしまうことがないように管理が行われている。もちろん、それでも線量限度を超える人が出る可能性がないわけではないだろうけれど、欠員が発生すれば、それを補充するために経験を積んだ作業者を用意する必要がある。つまり、頭数さえそろえば誰でも良いという現場ではないのだ。

まとめると、
・線量限度を超過する目安の年間20mSvを超える被曝をする人は、全体のうちのごく少数である。
・線量の高い場所での作業には特有の難しさがあり、それを担える人材は貴重である。
ということになる。このような状況を考えると、線量の高い作業現場があるとしても、「早期に年間許容線量に達してしまうから人が足りず、外国人労働者が必要になっています」というような話は、とても本当だとは思えない。それが本当であることを示すような情報を米山さんはお持ちなのかしらね。
もちろん、外国人の方が1Fに来て仕事をすることがいけないなんて、私は思わないけれど。



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